嗜好性が高い生き餌、ハニーワームとは?
ハニーワームとはどんな生き餌?
ハニーワームは、ハチノスツヅリガの幼虫です。「ハニーワーム(ワックスワーム)」という名前から、「ハチの幼虫」と思われがちですが、ハチミツなどを好んで食べる蛾の幼虫です。
ハチノスツヅリガの成虫は、ミツバチの巣に侵入し、そこで産卵します。卵から孵化した幼虫は、ミツバチの巣に貯蔵された蜜や花粉を食べて成長するのです。
ハニーワームの体長は1~2.5cm程度で、白から黄色を帯びたクリーム色をしていて、ハチミツのような甘い匂いがします。体は柔らかく、弾力性があります。
主に爬虫類や小動物、また釣りの餌として流通しています。釣りをする人には「ブドウ虫」という名前の方がわかりやすいかもしれません。
ハニーワームの栄養価
ハチミツを食べていることから、脂肪が多く、エネルギーがとても高いのが特徴です。病気で弱ってしまった個体や、大きく育てたい個体、産後の回復期などの個体などのエネルギー源になります。
ただし、ビタミンやカルシウムは少ないので、ペットに与える際にはダスティングをしてから与えると良いでしょう。
嗜好性が高く、食いつきは抜群
栄養価が高く、柔らかくて甘い匂いがして、ニョロニョロとした動き。人間と同じように、生き物たちも美味しくて良い香りがして、食欲を刺激する食べものは大好きです。
しかし、ハニーワームは高脂肪、高エネルギーなので、そればかりを与えてしまうと栄養が偏り、ペットはたちまち肥満になってしまいます。しかも、嗜好性が高いため、ハニーワームを頻繁に与えてしまうと、ペットによってはハニーワームしか食べなくなってしまうということもあります。
そのため、元気な個体に対しては、ハニーワームは「主食」ではなく、「たまに与えるおやつ」という位置づけにすると良いでしょう。
ハニーワームは多くの生き物の生き餌です
ハニーワームは多くの生き物が好んで食べます。
- 爬虫類(トカゲ、レオパ、ヤモリなど)
- 両生類(カエルなど)
- 肉食性魚類(アロワナなど)
- 鳥類・猛禽類(モモンガ、フクロウなど)
- 小動物(リス、ネズミなど)
これらの生き物で、特に食欲がなく痩せてしまった個体や病気などからの体力回復期の個体にはもってこいの生き餌です。
室温、または冷蔵保存が可能
ハニーワームは飼育環境さえ整えれば、ほとんど世話をせずに簡単にキープできる生き餌です。まずは飼育環境の準備をします。
飼育ケースは必ず蓋付きの物を準備します。ハニーワームはビニールや木材、紙は食い破ってしまうので、ケースはプラスチックケースやガラス瓶などがおすすめです。
「蓋付きプラスチックケース」というと、カブトムシなどを飼うような、網目の蓋のケースを想像するかもしれませんが、ハニーワームの飼育ケースは「小さなハニーワームも逃げられない、そしてコバエも入れない」ものが必須です。飼育ケースの蓋の網目は、”コバエシャッター”のような極細かい目のものを選びましょう。
次にハニーワームの床材兼エサを準備します。ふすま(またはオートミール)の粉末、ハチミツ、植物性グリセリンを混ぜて、”培地”を作ります。できた培地は、ケース内の湿気対策として、一度乾燥させてほぐしてからケースに入れることをおすすめします。
ここまで飼育環境を整えたらケースにハニーワームを入れます。その後は特に何もする必要はありません。あまり小まめに蓋の開け閉めをすると、コバエの侵入を許してしまう可能性があるので、蓋の開閉は最低限にします。掃除も週1回程度、フンや死骸を片付け、培地を追加する程度にします。
それ以上の世話は特に必要ありませんが、コバエ、カビ、ダニには注意してください。
温度20℃ぐらいがハニーワームの飼育に適していますが、ハニーワームを増やしたい、早く成長させたい場合は25℃~30℃の環境に置くと成長スピードが早まります。15℃以下の環境にすると成長スピードが抑えられます。
※ハニーワームは成長すると蛹になり、そこから1週間ほどで成虫(=蛾)になります。
逆にハニーワームを増やしたくない、成長させたくない場合は、冷蔵保存がおすすめです。注意点としては、温度が低くなり過ぎると死んでしまうこともあるので、野菜室や冷蔵庫のドアに近い場所などで保存すると良いでしょう。
また、体長が2cmに満たないうちは寒さにとても弱いので、冷蔵保存はおすすめできません。
ハニーワームの脱走に注意
ハニーワームは、ミツバチの巣を荒らし、大きな被害を与えることがあります。ミツバチの巣に寄生するハチノスツヅリガは、ミツバチにとって天敵とも言えるのです。養蜂家はハニーワームの被害を防ぐために、さまざまな対策を講じています。
万が一、ハニーワームが脱走してしまい、近くに養蜂場があった場合は、大きな被害、そして経済的損失を出してしまう恐れがあります。このため、ハニーワームを飼育する際には、脱走対策をしっかりと行うことが重要です。